2015年7月1日水曜日

「フォルクローレのタイムカプセル」 堀込孝一(ビエントス)

古い雑誌の紹介です。
現在の「ラティーナ」という中南米音楽情報誌の前身は「中南米音楽」という雑誌であったそうな。
その「中南米音楽」の臨時増刊号が2冊。
一つは、1975年(昭和50年)1月発行の「フォルクローレのすべて‘75」。
もう一つは、1978年(昭和53年)11月発行の「フォルクローレ79」である。
この増刊号2冊は、モンターニャスのメンバーの大塚さんが、リアルタイムで購入し、愛読していたのを二十年ほど後に借りて知ったのだが、最近、苦労して2冊とも入手出来た。
前者(75)は、「いま日本で多くレコードが出ていて、広く親しまれているアルゼンチンのフォルクローレを中心に編集」されています。後者(79)も、やはりアルゼンチンのフォルクローレが中心に編集されています。
75では、クリスティーナとウーゴ、アタワルパ・ユパンキ、メルセデス・ソーサ、ロス・インカス、ロス・カルチャキスなどアルゼンチン系の大スター。それに混じって、インティ・イリマニ、キラバジュンなどのチリ系も紹介されていますが、79では、タワンテンスゥーユ、ロス・ライカス、エルネスト・カブール、グルーポ・アイマラなどボリビア系も目につくようになっています。75で、生粋のボリビア系は、ロス・ワラワラくらいだったでしょうか。
また、79では、ウニャ・ラモスやアントニオ・パントーハなどケーナを中心として演奏するアーティストの比率が高くなっています。
75では、「フォルクローレ名曲250選」、79では、「厳選!名曲ベスト100」との企画。また、「フォルクローレLPベスト50(75)」、「評論家の選んだベストLP30(79)」などの企画も。
75、79ともに約130枚ほどの日本盤LPが紹介されていますが、今となっては、これらの記事は非常に貴重で、75で、紹介されたアルゼンチンのアーティストなどをAmazonなどで検索しても、ほとんどヒットしません。CD化から洩れてしまった、現代では顧みられないアーティストがほとんどなのかもしれません。
でも、たまに中古レコード店やネットオークションなどで日本盤LPレコードを見かけたときには、この2冊を購入の参考にしています。
その他にも、各地のフォルクローレ愛好会、レコード店、楽器店、ファンの店(喫茶店、レストラン等)などが紹介されていて、当時のブームというものを垣間見る気がします。
古いLPを聴き返してみても、新しい発見もあるものです。
ボリビア音楽一辺倒になりがちな私にとっては、少しでも趣向の幅を広げるのに役立っていますし、これらの情報は、日本のフォルクローレを知るうえで、また、特に世代格差を埋めるツールとしても重宝しています。