2021年9月1日水曜日

「イエローカードの記憶」堀込 孝一(ビエントス)


 イエローカードといえば、サッカーなどのスポーツでのペナルティを思い浮かべる人が多いと思うが、ここでは「黄熱病の予防接種の証明書」のことである。
 証明書が、黄色の用紙に記載されているので、単純にイエローカードなのだと思う。

(所有するカードのサイズは、縦15cm、横10cm位。二つ折りになっている。画像は表・裏)


 2010年9月に、東京コチャバンバのペルー・ボリビア旅行に参加させてもらったが、その際「ボリビアの経由地の空港でチェックされる(可能性がある)」との趣旨で、黄熱病の予防接種を受けて接種証明書(イエローカード)を持参するように指示があった。

 
 黄熱病(イエロー・フィバー)は、野口英世の功績と共に日本での知名度は高いはずだ。

 予防接種なら地元の甲府保健所なら打ってもらえるだろうと軽い気持ちで問い合わせたが、県内ではやっていないという。
 最寄りでは、東京か横浜の検疫所なら受けられると思うとの情報。

 まずは東京の検疫所に問い合わせたが、土日の接種で旅行に間に合う予約は、もう、塞がっていた。
 慌てて横浜の検疫所に問い合わせると旅行に間に合う土曜の予約を取ることが出来た。危ない、最後のチャンスみたいなものだった。

 証明の有効期限は接種から10日後。それから10年間有効とのことだ。
 横浜検疫所の担当者から「午前9時から9時半の間までにこちらに来られますか?」と尋ねられたが、行くしかないのです。とりあえず。

 横浜に午前9時というのは、山梨から朝出発で5時頃か?ということで、朝が辛いので、車で前夜出発し横浜で仮眠等で時間をつぶして・・という計画にした。

 前日夜は、飲み会であったが、禁酒で臨み、その足で横浜へ向かった。幸い渋滞や事故等無く深夜、横浜に到着。まだ、8時間以上の時間がある。

 その間、空き地に車を止めて仮眠しようかと思ったが、適当な空き地が見つからない。夜食もかねてファミレスに入ったが、1時間超えると駐車場代が課金されるという。

 やはり横浜は、都会であり、観光地であり、田舎と違って適当な駐車場所を見つけるのは困難と知った。

 おかげで朝まで、睡魔と戦いながら休み休み横浜をドライブしながら過ごした。朝日が出てからの時間も長かった。

 やっと、朝9時に近くなり、横浜検疫所の近くの有料駐車場に車を停めて検疫所へ向かった。
 公の施設なのですぐ判るだろうと甘く考えていたが、合同庁舎の一室らしい。似たような建物があるので、多少迷いながら探す。あせって小走りで、汗ばみながら到着は9時15分くらいだっただろうか。

 さて、受付で、印紙や書類を提出し、検温を受けると、なんと体温37.6度であった。謎の発熱、確かに体調は良くない。頭もすっきりしない。寝不足だし。
 担当曰く37.5度以上の熱があると接種は受けられないそうだ。このまま、接種が受けられないと一緒に旅行に行く人に迷惑がかかるかもしれない。当然、旅行は断念したくない。

 何とか熱を下げようと考えた。

 受付には、走って来たので、ちょっと呼吸を整えてくると伝え、受付近くのスペースにあったジュースの自動販売機から、冷たいものを大量に飲んで一時的に体温を下げる作戦を思いついた。

 一気飲みの辛い炭酸飲料を避け、500mlのウーロン茶を2本買って一気に飲み干す。
 
 おかげで、次の検温では、37.4度となった。こうして、無事、予防接種を受け、イエローカードを手にすることが出来た。

 ペルー・ボリビア旅行では、一度もイエローカードの提示を求められることも無かった。

 その後、南米への旅行の機会も無く。黄熱病の予防接種が、新型コロナに効果があるというような旨い話も無く。もう、昨年(2020)、イエローカードの10年の期限到来となった。
 が、現在では法改正により、イエローカードが「生涯有効」になっていることを知る。少しうれしかった。


 新型コロナの影響で、当分、海外旅行に行けそうもないが、パスポートはしっかり10年間で期限切れになっている。
 
 いつもならいつでも海外旅行に行けるようにと更新は切らしたことはなかったが、今度のパスポート更新は、次の海外旅行の予定が入ってからになるだろう。