2018年10月2日火曜日

「フォルクローレCD」堀込孝一(ビエントス) 


最近、ボリビア・フォルクローレの新譜CDをあまり見掛けなくなった。

国内のアンデスCD専門通販サイトでも、ボリビアの新譜は少なくて、再発ものばかり。自分が普段利用している通販サイトだけの話でもない気がする。
CD化の代わりに音楽配信にスライドしているかと思えばそうでもないと感じる。

今から二十年程前から、私はボリビア・フォルクローレにハマったが、当時は、南米人のグループが、駅前で路上ライブをやりながら自らのインディーズCDを売るという光景もよく見かけたものだ。
なかでも、ティンクのリズムの「アンデスの旅人」などは、日本のアマチュア・グループに大きな影響を与えたと思う。

当時は、ボリビア楽器を扱う店では、ボリビアCDも売られており、他にも渋谷タワーレコードや銀座の山野楽器などにもフォルクローレ輸入CDコーナーがあり、相当のスペースを割いていた。
民族衣料雑貨店のチチカカにもフォルクローレCDコーナーがあった。そこそのの楽器も並んでいた。

ボリビア楽器店でもインターネットにCD入荷情報を掲載し、更新も頻繁であった。

なかでも1996年に東京コチャバンバで出した冊子「BOLIVIA FOLKLORE CD CATALOG 1996 Vol.1」は、今でも参考にしている。A4版20ページ程のカラーで、1ページに9枚のCDを紹介している。



当時のボリビアCDは、過去のLPからのベスト編集や過去のLPのCD化、そして新譜とバラエティーに富んでいた。

日本盤フォルクローレCDでは、パントーハ、ウニャラモス、コンドルカンキ、クリスティーナとウーゴなどは、ビクターからのベスト盤、ビクターの5枚組の「フォルクローレ名曲100選」と・・今では各種のオムニバス盤くらいしか売られていなかったのが現実だ。
その中でも、何度か来日し、ツアーを組んでいるカルカス、カブールやグルーポ・アイマラなどは、来日記念CDがリリースされたが、いずれも廃盤。

日本人が、他国の人に比べ、CDを自ら購入し大事に聴くというのは、顕著な傾向らしいが、買いたいCDが売られていないのだから仕方がない。

日本のレコード会社ならともかく、ボリビアCD専門販売店からボリビアの新譜が届かないのだから、新しいアーティストがどうなっているのかも疎くなってしまう。

たしかに、何度も聞き返したくなるCDというのは年々明らかに減っているし、有名なアーティストの新譜もどこかで聞いたような曲が連なる。

ボリビア・フォルクローレも、完全に停滞期に入ってしまったのか。

日本は、様々なジャンルの音楽を深く追及している人が多いと感じる。ボサノバ、シャンソン、ハワイアン、フラメンコ・・そのジャンルは、コアな形で日本で生きている。本国で顧みられなくなった音楽だとしてもだ。

フォルクローレも日本に息づく異国音楽の一つのジャンルとして、この先、日本で生き残っていくのだろうか。