2017年10月1日日曜日

「運動会の想い出」 堀込 孝一(ビエントス)

近くの小学校で秋の運動会が開催されている。
ふと、音楽に乗せ、昔の運動会の記憶が蘇ってきた。
人生最初の運動会の記憶は、幼稚園での「宝ひろい」である。
翌年4月に入園予定の幼児が、幼稚園から招待された。
その幼児が、男女交互に並ばされ、一斉に「よーいドン」。
運動場の中央に並べてある「お宝」を拾って、スタート地点に戻れば「ゴールイン」という競技。
私は、2年間幼稚園に通うコースであったので、当時4歳だったハズである。
これから「たからひろい」だと、家族席から、私も呼び出された。
「宝」というからには「おもちゃ」か?などと期待が膨らむ。
「まっすぐ走って目の前の「お宝」を拾って、戻ってくるのよ」と先生から説明を受けながら、スタート。

結構、真剣に走ったので、一番先頭で「お宝」ゾーンへ。
自分の走った先には、男の子用に自由画帳とクレヨンと「青」の筆入れがビニール袋に入れられて置いてあった。
周りを見回すと、女の子用には、「赤」の筆入れが・・。
すべて、色以外は、まったく同じ物が、ビニール袋に入れられて置いてあった。
赤と青交互に・・・。
それを見た私は、「お宝」には目もくれず、方向転換し、「こんなもの要らない」と言いながら、エリアを外れ、家族席へ向かった。ゴールもせずに。
慌てた母親が、私の手をつかみ、一緒に「お宝」のもとへ走り、私に「お宝」を拾わせ、二人でゴール。
その後、幼稚園の先生が、家族席にあいさつに来た。私は、無言で、拾ったばかりの自由画帳にクレヨンで絵を描き始めた。照れくさかった事は覚えている。