2023年2月1日水曜日

「チャランゴのストラップについて」三澤 常美(ビエントス、チャランゴ)

 チャランゴという楽器は、後ろ側が膨らんでいるので、立って演奏する際にウクレレのように持ってもマシンヘッド部分が重いため、極めて安定が悪い。

 高く保持する昔ながらの保持法もあるが、コード弾きでは良いもののソロでは左手の自由が制限されてやりにくい。

 そこで首から吊るすストラップの出番である。

 ストラップの取り付け方には、楽器に穴を開けてエンドピンを装着するか、穴を開けたく無い場合、粘着テープとベルクロ、吸盤を利用する方法が考えられる。


 中古のチャランゴを購入すると無造作に真鍮製のヒーロンが付いていることもしばしばである。

 ヒーロンにボリビア風の平織の紐の先端を縛り付ける為だと思うがあまり格好良くない。

 そもそもエンドピンはギターやウクレレの場合補強材の入った一番後方端に穴を開けることが多い。

 チャランゴの場合は吊り下げた時のバランスを考えてより上で内側に開けられる。

 そこで問題なのは、ボディー板の強度である。

 ボディ材が薄い場合は穴の周囲から割れる心配がある。

 

1)内部に補強材を入れる方法(私見)

 ストラップピンを着けるために開けた小孔からテグスか、いらなくなったチャランゴ弦を挿入して、ボディ全面のサウンドホールから出す。

 適当に丸く削った当て木一円玉くらいの大きさで5ミリくらいの厚さに調整して装着部外側カーブに合わせ表面を丸く調整しておく。

 中心に糸の通るくらいの穴を開けて、サウンドホールから出した糸を通す。

 通した糸の一部にコブを作って当て木が抜けないようにする。

 当て木の表面に接着剤を塗布して少し待つ。

 数分後に糸を引っ張って本体小孔の裏に誘導して圧迫する。

 この時テグス糸を巻いて引っ張り固定。

 接着剤乾燥まで12時間ほどまって、サウンドホール側から糸を抜く。

 あくまで頭の中だけで考えた方法なので、やる場合は自己責任で。





2)吸盤を使用する方法

 一番手軽で、ボディを傷つけないので良いが、いつ吸盤が外れるか分からないので精神衛生上良くない。

 吸盤の接着力の強いものを選ぶが、本体のカーブもあってなかなか良いものがない。

 本体に足場となるシールを貼ってから吸盤を着けると少し安定する。

 また、パンチングボード用吸盤の中にはネジを回すことで吸盤を引き上げてより吸着力を強くする工夫がされているものがあり、外れにくい。


ストラップのもう一方をどこにつけるか?

 ネックの根本につける方法 ウクレレやギターで見かける。

 演奏中ストラップがヘッド側に見えないので良いが、チャランゴではヘッドヘビーで安定が悪い。

(特にギアペグ仕様の場合)イタリアの女性チャランゴ奏者でこの位置で固定して上手に弾いている方もいる。



3)ヘッド部分への装着

 ストラップに丈夫な紐を通してナットの上の弦との隙間に縛る方法

 手軽だが、チャランゴではローポシションでのコード弾きが多用されるので少しストラップが邪魔になる。



4)ヘッド先端部分の裏側にストラップピンをつけてしまう方法

 ヘッドの裏側の高い位置、ヘッドの裏側の2番目と3番目の糸巻きの間の真ん中 などが考えられる。

 手軽に脱着可能なので便利だが、大事な楽器に傷をつけることになる。


5)左右の糸巻きの間の木の部分に紐で縛り付けつける方法

 これも手軽だが、弦交換の際は紐が邪魔になる。

 最後に最近の女性チャランゴ奏者の間で行われている糸巻きにストラップの取り付け部分を通してしまう方法


 ルシール・イズミなどの動画でヘッドにストラップを巻き付けているのがわかる(写真)




 チャランゴの右側の一番上の糸巻きや、3番目。反対側の3番目などにストラップを固定して、ヘッドを下から巻いている。

 この利点は、チャランをストラップで吊るした時にチャランゴが下を向かない。

 綺麗なストラップなら視覚的にもなる。

 ヘッド周囲にピンをつけないし、紐もいらない。