久しぶりに実家に帰った時の事。
母が
「お母さん、ユニットを組んだの!」
と嬉しそうに言った。
ユニット・・・といえばお風呂?いや、実家のお風呂はもうユニットバスになっているが
また新しくリフォームするのにローンを組んだという事なのか?
と困惑している私に、更に母は満面のドヤ顔で言った。
「音楽ユニットを結成したのよ!」
今度は、困惑を通り越して頭が混乱してきた。
母は、今年喜寿を迎えた。その母の口から発せられるには意外すぎる言葉であった。
母は数年前から大正琴をならっていて、その教室の先生がキーボードとボーカル・同じ教室に通う男性がハーモニカ・母が大正琴とボーカル、という三人組の音楽ユニットなのだそう。メンバーは全員七十代後半~八十代前半だとか。
老人福祉施設などを慰問して昭和の懐メロを演奏しているそうである。
実家は昔から商店を営んでおり、母はずっと店と家事を切り盛りして忙しく働く生活を送っていた。一時期、ママさんコーラスをやっていた時もあったがすぐに辞めてしまった。
どちらかと言えば父の方がシャンソンやクラシックをよく聴いたり歌ったりしていて音楽好きだったという記憶がある。
母はといえば働いてばかりで特に趣味があるようには見えなかった。
しかし、店を畳み、父が亡くなってから母は合唱団に入ったり、大正琴を習ったりと急に音楽を始めたので驚いた。
家に一人で居てもボケそうだから、といまだに仕事をしていて、その合間に歌のイベントなどがあると積極的に参加し、発表会も堂々とこなしていて何だか昔より生き生きとして充実した生活をしていて羨ましいなぁ、と感じていた。元々は、母も音楽が好きだったのだ。
そして、そこからの『音楽ユニット』である。
楽しそうに施設に慰問に行った時の話をしている母を見ると、そのバイタリティとチャレンジ精神には全く感心してしまう。
私が77歳になった時って、何をやっているのだろう。
まだフォルクローレを続けていられているのかしら・・・と考えてしまった。
お婆ちゃんになってもボンボを叩いて歌うなんて、カッコいいんじゃない?(^^♪
続けていられるといいなぁ。
ちなみに、その音楽ユニットのグループ名は?と聞いたら
「ん~?昭和の歌を歌う会?違う。懐かしの歌を歌う会??わかんない!」
そうである。
とにかく音楽ユニットを組んでる、というだけで名前はどうでもいいらしい。
そこら辺も何だかユルくて、面白そうなユニットである。